21,Giving
   与えること
 いまこそ開いて、けちであることをやめて、
 自分がなしうるかぎりのことを、
 自分がもちうるかぎりのものを与えることです。
 あなたのありあまる愛を、
 あなたのありあまるハートを与えることです。


 マリー・マグダレーナを覚えているだろうか?
 私には、彼女だけが本当にイエスについて行った人のように思える。
 彼女の真正さは途方もなかった。
 
 ある日、彼女はやってきて、
 非常に、非常に高価な香水をイエの足にかけた。
 
 
 ユダはその場にいて、その機会を逃さなかった。彼は言った。

 「いいですか、あなたは彼女を止めるべきだったのですよ!
  これは無駄です! 
  あのオイルは非常に高いのですよ
  ……売ることだってできたのです。
        人びとは飢えています。

 それに、この香水は非常に高いのに、なぜ
         それを無駄にするのですか?」
 
 論理的に見える。
 だが、イエスはなんと言うだろう?

  イエスが言うことは非常に非論理的だ。
  彼は言う。

  「貧しい人たちは常にいる。私が去ったら、
  お前が彼らの面倒を見ればいい。
   お前にはこの女性のハートがわからない。

   彼女に香水をかけさせるがいい
   --高価か、高価でないか、
   それは関係ない。

 私は彼女のハートのなかにすばらしいフィーリングが
立ち昇っているのを見ることができる。これが祈りだ……
私には彼女の祈りを邪魔することはできない」

 マリー・マグダレーナにはハートの美しさがあることを
 イエスは理解した。
 イエスが見ているのは香水ではない

 ---彼はその女性のハートを見ている。




       ZEN:THE PATH OF PARADOX.Vol.3,p.312
      THE WISDOM OF THE SANDS,Vol.1,pp.265-266